インプラント治療の前に

インプラント治療が普通になるに連れて、DRも患者さんも甘く考えているとしか思えない方が増えて来ています。
これは非常に危険な傾向です。
まず患者さんの方ですが、知人が簡単に上手く行ったから自分もそうなると決め付けてくる方がいますが、これはいけません。
人それぞれで、全く状況が違うからです。
なのにインプラントと言う事で同じと信じ込んで、同じように治ると決め付けている。
それなら、極端な話、車ならベンツだろうと、カローラだろうと皆同じになってしまいます。
ましてや、人の体を相手のものですから、別人で同じだったら、その方が怖いと思います。
だいたいの所に皆、納まる事が多いのですが、それでも微妙な違いが出たりします。
何よりも、人それぞれで、日常生活が違います。
食の好みも違いますし、普段の生活が違う。
そうすると、治療した部位に関しての影響の出方も違います。
はっきり申し上げて、インプラント治療をした場合は入院生活に入ったくらいに考えて頂いて、治る為に努力して下さる方ほど素晴らしい治り方をします。
治す時には自分の努力をして頂いて、治す気持ちの籠もっている方の方が治るのは、やはり当然と言えるでしょう。
そこをお願いしたいと考えます。
次に、DR側です。
最近のDRは歯牙の治療、根の治療とか歯周病の治療が面倒臭い、義歯なんて時代遅れだ、と決め付けてインプラントしか学ぼうとしない愚か者が増えています。
とんでもない勘違いです。
歯科の全ての治療は、指先の感覚を磨き、器用に成る為には絶対のものです。
それを疎かにして、インプラントだけ出来る筈がありません。
インプラントこそは総合的な治療です。
基礎を疎かにして、修得出来る筈がない!と断言します。
インプラント治療は総合的なものです。
それを絶対に舐めてはいけません。
後で40代、50代に成ってから苦しむ事に成るでしょう。
理由は今更、頭を下げて学ぶ事が難しいからです。
それが出来る方はまだ良いです。
しかし、殆どの方が出来ずに自己流でしてしまい、リカバリー出来ず苦しむ事に成ります。
若いうちに感覚を習得する事です。
個人的な経験ですが、総義歯の勉強会で実習付きで50代、60代でもろに不器用で、患者さんから痛がられてしまう手付きの方ほど惨めな事はないと感じました。
私は当時30代そこそこでしたが、患者さんから昼ご飯の時に隣に座られて”先生はお若いのに素晴らしい手付きですね”と存外にお褒め頂き、その時に私が一番年下だったので、真っ赤に成ってしまった思い出が有ります。
患者さんは分かるのです。
手技の感覚は、若いうちに身に付けないと修得が難しくなります。
怠け心を起こす事無く、修練して下さい。