インプラントの治癒に関する基本的な考え方について

皆さん、インプラントは入れた直後から安定していたら、そのままどんどん安定が増していくと誤解されてませんか?
実はそうではありません。
インプラントは植立されてから、3週間後までは安定値が悪く成ります。
そこから安定度が増して行き、早ければ1ヶ月半で機能出来るように成ります。
これを良く理解していて下さい。
治っていく過程を理解していないと、オペ後3週間位は患者さん自身もオペ時の気が緩み、もう大丈夫とタカを括る出す時期だからです。

つまり、インプラント治療は骨の骨折の治癒過程と、同じ様なものであると理解して欲しいのです。
よくよく考えれば、それは当然な事です。
何故なら、インプラントは骨に埋め込んでいるネジ、ビスのようなものだからです。
骨が治るかどうかが、インプラントが無事治るかどうかを決める事なのです。
骨折をした場合、治りかけの時、3〜4週間後が、一番注意をしなければいけないと言われますよね、それと全く同じ事なのです。

それを部品が組み立てられるような感覚で、インプラントを考えているとしたら、非常に危険なのです。
しかし、患者さんを拝見しているとそこら辺の感覚が緩い方が時々います。
インプラントに夢を掛けるのは、理解出来ますが、それで全てがキャンセルされる訳ではありません。
インプラント治療を出来る位の富裕層の患者さんは、殆どが理解力があり、流石だなと言う方ばかりですが、時に金を出す代わりに自分の思う通りに治せと言う方がいます。
しかし、そうは行きません。
体には生理的なルールがありますから、機械を組み立てるのとは違います。
しかも機械屋さんにお聞きすると、機械を組み立てるのだって設計図通りでは行かないそうで、現場で修正即ち改善しながら組み立てるそうです。
人の体も同じです。
計画通りに行く事ばかりではありません。

ではどうすれば良いかと言うと、簡単です。
こうすれば治ると言う黄金ルールを厳守するだけです。
それを、一生の内、治療期間だけ厳守すれば良いのです。
長くても1年でしょう。

それを、性急に結果を求めるから、逆に時間が掛かる破目に成るのです。
行け行けばかりでなく、グッと我慢すべき時には我慢する、これがスムースに治る一番の近道なんです。
急がば回れ、は真理でしょう。