外科はやはり怖いものです。インプラントも例外では有りません。

最近はインプラントを安易に考えている方が専門家、患者さん両方に増えていて、危険な事故がなければと心配しています。
これは、私が聞いた話です。
ある医院でサイナスリフトをしたそうです。
先進的なDRで1回法と併用でしたそうです。
ところが、事故が起きました。
インプラントがくっ付かなかっただけでなく、何とその患者さんは感染し敗血症を起してしまい、生死をさ迷ったというのです。
緊急で入院され、大変な騒ぎになったそうです。
この患者さんは助かった後、大変な人物で温厚に対応して下さり、賠償金等には成らず病院を紹介し、治療費を面倒見るで納得して下さったそうです。
が、一時は家族の方が大変な剣幕で、大事だったそうです。

やはり外科は怖いな、と思わされる事故です。
何故そう言う事態に成ったかと言えば、そのDRはまだ経験が浅かったそうです。
指導医もなく、単独でオペをしてしまったそうで、結局何処に問題があったのかは不明でした。
この様な感覚が鈍いDRは、危険な面を理解していないのでしょう。
やるのは止められません。
しかし、危険性をよくよく理解して欲しいと思うのです。
何処まで何をして行けば大丈夫なのか、そして、危険なのか、見極めが重要です。
外科医としての嗅覚とも言えるでしょう。
あるDRは私の事を、野生の勘、評していました。
ある面それは当たっています。
何故なら、3DXの画像で見ているからです。
自分で言うのも変ですが、実にギリギリです。
良くぞ此処で、こんな風に止めているな、と感心します。
例えば、下顎の神経の近くに紙一重まで近付いているのです。
運が良い、患者さんのです、運が良いとしか言えません。
こう言う事がある為に、私は普通の方よりも相当に信心深いです。
オペの時には、必ず神仏に手を合わせ、患者様の幸運を願います。
数々の奇跡と称されるオペを成し遂げて来れたのも、そう言うお力のお導きと信じています。
私個人の力量ではなく、私を通し、寄り代として尊い力が素晴しいオペを成し遂げている。
自分の手、指が自分のものであって、自分のものではない。
そんな感じです。
そう言う時にはいつも、不思議な位邪念がなく、澄んだ心で淡々と進んで行くのです。
眼、手指、体に何か宿るような感覚、この力が患者さんを守って下さる限り、私はメスを振るい続けます。